菅原天満宮(菅原神社)(奈良市) 菅原氏発祥の地 道真公産湯と伝わる池も

「天満宮」と言えば菅原道真公を祀り、道真公の神徳にあやかる学問の神様である―。そう思っていたが、奈良市の菅原天満宮が、道真公より古くからある日本最古の天満宮であると聞き、驚いた。
車の行きかう阪奈道路から少し北に入った住宅街に、この天満宮は静かに鎮座している。祭神は天穂日命(あめのほひのみこと)、野見宿祢命(のみのすくねのみこと)、菅原道真公の三神である。
天穂日命は日本神話に登場する神で、その子孫である野見宿祢命は垂仁天皇に、当時の風習であった殉死をやめて埴輪にするよう進言し、土師(はじ)の姓を賜ったという。また当麻蹶速(たいまのけはや)と相撲を取って勝った相撲の始祖でもある。
そしてその子孫である土師古人がこの土地の名前である「菅原」に改姓を願い出て菅原姓を名乗ったという。道真公が生まれるのは、それから3代後のこと。同神社は古人が改姓を願い出た西暦781年には、菅原家の氏神として既に創建されていたと伝えられている。
道真公の没後、全国各地に道真公をまつる神社が設立されたとのことだが、同神社が菅原氏発祥の地であり、日本最古の天満宮ということだ。
神社の近くに、菅原道真公の産湯とされる池があると聞き、訪ねた。神社の門を出て東に100mほど進むと、住宅街の一角に突如池が現れ、その中ほどに島があり、碑が建てられているのが見えた。略記によると、道真の母が京都から菅原の故郷に帰って道真を産んだとのことだ。昔はこの池も神社の境内だったのだろう。

「道真公にあやかって、県外からも多くの受験生などが参拝されます」と話すのは同神社禰宜の中村眞一さん(52)。毎年2月には道真公が愛したとされる梅にちなんで「盆梅展」も開催されるとのこと(今年は2月11日~3月11日)。
桜の前に満開を迎える梅―。梅が咲く季節にもう一度訪れたいと思った。(久)
アクセスマップ

菅原天満宮(菅原神社)
TEL:0742・45・3576
※このページの内容は2017年2月3日現在のものです。